PROFILE

松本茂高  Shigetaka Matsumoto

1973年神奈川県生まれ。21歳の時に初めて訪れたアラスカの原野に圧倒され、現在もアラスカを中心とした旅を続けている。
ニコンサロン新宿、モンベル、コニカミノルタプラザ新宿、山梨県北杜市津金学校などで個展を開催。




2013年3月5日火曜日

ワスレナグサの花

Forget-me-not (ワスレナグサ)

北極海の畔で 




流氷が漂う6月の北極海の畔をゆっくりと歩いていた。

まだ雪が溶けたばかりで荒涼としたツンドラの大地がどこまでも続いている。
時折、頭上を飛んでゆく渡り鳥以外は、生命の気配は感じられない。

寒々とした陰鬱な空の下、流氷の浮いている北極海、そして、ゆったりとした起伏を付けながら何処までも続くツンドラの彼方を眺めながら、僕らは何処かに生命の気配を探して歩いていた。

ツンドラを歩くことに少々疲れを感じ、その場で一休みをしていると、足下に小さな小さな淡い青色の花が咲いていた。腰を屈めてみると、それはワスレナグサの花であった。
そして、その花は、家の庭先や草原でゆらゆらと風に揺られるワスレナグサの花ではなく、ツンドラの大地にへばりつくようにして力強く咲いていた。

誰にも見られることもなくひっそりと、北極海の畔で毎年このように小さくても力強く咲いているのだと思うと胸が熱くなった。

Forget-me-not... ワスレナグサ。

Forget-me-not
Arctic National Wildlife Refuge, Alaska
まだ流氷が漂う北極海の淵でひっそりと咲いていた。
アラスカ北極圏国立野生動物保護区 




Forget-me-not
Denali National Park and Preserve, Alaska
デナリ国立公園で咲いていたワスレナグサの花。



Forget-me-not. ワスレナグサはアラスカ州の花である。


2 件のコメント:

  1. ツンドラを歩いていて疲れた時に、足元にこの花が咲いていたら、ホッとすることでしょうね。
    本当に、大地にへばりつくように力強く咲いているのですねぇ。

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    1. そうですね、荒涼とした風景に負けてしまいそうな時、足下に小さなワスレナグサが力強く咲いているのを見て、ホッとしました。
      本当に美しい花です。

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