PROFILE

松本茂高  Shigetaka Matsumoto

1973年神奈川県生まれ。21歳の時に初めて訪れたアラスカの原野に圧倒され、現在もアラスカを中心とした旅を続けている。
ニコンサロン新宿、モンベル、コニカミノルタプラザ新宿、山梨県北杜市津金学校などで個展を開催。




2012年11月2日金曜日

エゾシカの死

Death of Ezo deer




9月の終わりに知床半島の切り立った岩壁の下を、クマを探して歩いていた。 


切り立った海岸線が続いている知床半島

すると目の前にシカの残骸が現れた。恐らく、死んでクマに食べられたに違いない。


岩の間と下にたくさんのシカの骨があった。

岩の間に残されたシカの足の残骸


よく観察をすると、少なくとも三体以上の死骸がある事に気づいた。これはどうやら、自然死ではなく、何か不慮の事故がここで起こったに違いない。散乱する岩はまだ浸食されておらず、角が尖っていて、割れたようなものが辺りに散乱していた。僕の浅はかな推測では、すぐ上の切立った岩壁が何かの理由によって崩れて、ちょうどその下にたシカの群れに直撃したのではないかと思われる。もしくは、崖の上にいたシカの群れが、そのまま岩壁ごと落ちていったのではないのであろうか。

いずれにしても、自然界では、このような事は当たり前のように起こるのかもしれない。
いつも思う事であるが、自然の中に身をゆだねているといつも危険なことが頭をよぎる。回避する準備はいつもしているが、どうにもならないことが起こっても、しょうがないとたかをくくるしかない。もし、そのような状況になってしまったら、いさぎよく、これらのシカたちのように運命を享受するしかないのであろう。

辺りには鳥の糞やクマの糞がたくさん見られた。これらのシカの死によって骨と毛皮をわずかに残しただけで、すっかり食べ尽されていた。捕食者にとってはこの上も無い天からの贈り物である。



間もなく繁殖期を迎えるエゾシカの雄



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