Raindrop
灰色の空が、阿寒の森へ降りてきて、霧と靄とあらゆる種類の雨があたりを満たす。雨と風が強まる中、誰もいない森をわざわざ一人で歩いてみた。
風はさらに勢いを増し、木々は轟々と音をたて、いつもは静かなオンネトーの森に様々な音を与えてゆく。レインウェアのフードも被らずに森を歩くと、雨粒は髪の毛を濡らし、顔を流れ、首筋を伝って服を湿らせた。雨の不快感に文句をつけたところで仕方は無いと諦める。しょせんこの森の主は雨なのだ。
アラスカの先住民の考えによれば、雨を含むあらゆる天候、自然現象には、スピリット(魂)と意識があるという。この森に生きた先住民アイヌの人たちにもこのような考え方があるのだろうか?もしこの考えが本当だとしたら、この地球上のあらゆるすべての自然現象にも魂が宿っていて、それぞれ意識を持っていることになる。そういう意味で僕も森も風も雨粒もあらゆるすべてのものは対等な存在だ。そして、森はスピリチュアルな力をもつ存在たちの共同体だとしたら、誰からも見られない孤独はあり得ないことになる。
とはいえ、雨と風が強い中、一人で森を歩くことはある種の不安や恐怖や様々な感情が湧き上がり、それなりの孤独感を味わえる。
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