PROFILE

松本茂高  Shigetaka Matsumoto

1973年神奈川県生まれ。21歳の時に初めて訪れたアラスカの原野に圧倒され、現在もアラスカを中心とした旅を続けている。
ニコンサロン新宿、モンベル、コニカミノルタプラザ新宿、山梨県北杜市津金学校などで個展を開催。




2013年10月31日木曜日

オオカミ

Encounter with the my first wolf



初めて自分が撮ったオオカミの写真。
1996年9月デナリ国立公園

Photo of the my first wolf.
Denali National Park and Preserve, Alaska. 1996

オオカミ。
アラスカの原野を想像する時、必ずといってオオカミとグリズリーの存在をどこかに意識する。

自分にとっての初めてのオオカミとの出会いは、1995年9月、秋のユーコン川を一人で下っていた時のことである。たった一人での初めてのウィルダネス体験に、どうしようもなく寂しさと心細さを感じながら毎日、カヌーで川を下っていた。

ある晩、島のような大きな中州でキャンプをしていた時、テントの中でオオカミの遠吠えを対岸の森の方角から聞こえてきた。そしてその声はあたり一面へと次々と広がっていった。まるで、これから狩りを始めるぞという雄叫び声のように感じ、そしてそのターゲットはテントの中の自分ではないのかという恐怖にがたがたと打震えていた。
しかし、その声はやがて遠くへと過ぎ去り、あたりは再び静寂に包まれていった。

その時以来、自分はアラスカやカナダの原野を旅する時、必ずといって毎晩テントの中でオオカミの遠吠えを闇のどこかに探してしまう。




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