Little life dear love
今から16年も前の出来事。
初めて訪れたカナダの太平洋沖に浮かぶ、クイーンシャーロット諸島の森を一人で歩いていた時のこと。
突然、目の前の茂みからシカが飛び出して逃げていった。
そのまま、その場所を通り過ぎようとした時に、茂みの中に小さな小さな子鹿が二頭、身を寄せ合ってじっとしているのを見つけた。とても怖い思いをしているのだろう。よく見ると、体が小刻みに震えている。
一瞬、この目の前の小さな生命に触れてみたいと思ったけれど、それは決してしてはいけないことだと思った。その行為によって、人間の匂いを子鹿に付けてしまったら、母鹿は子鹿を見捨ててしまうかもしれないと思ったからだ。
生まれたばかりの子鹿は危険を察知すると、逃げることよりじっと動かないことで身を守る術を本能で知っている。だから母親はその場から逃げることによって敵から注意をそらしているのだ。
恐怖で小刻みに震えている小さな小さな生命を目の前にして、心がギュッとしめつけられるような愛おしさを感じたことが、ついこの間の出来事のように思われる。
Two newborn fawns. Queen Charlotte Islans, BC CANADA. June 1997 |
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