夕鶴
Sandhill Cranes - カナダヅルの渡り
白夜の終わりとともに北極圏で営巣を終えた50万羽のカナダヅルが、アメリカ南部の越冬地へと渡って行く。
もう20年以上も前から、僕は9月のデナリ国立公園の紅葉の美しさに惹かれて何度もキャンプを続けてきた。そして、この時期になると決まって何処からともなくツルの鳴き交わす声が何処からともなく聞こえてくるが、その声の大きさとは裏腹に、辺りを見渡しても何も見つけることができない。しかし、しばらくその声の方向を見つめていると、自分が見当をつけていた場所よりも遥かに高く、ツルの群れが編隊を組んで飛んでいることに気がついた。
6月の白夜の北極海のほとりを旅したとき、ツルの鳴き声を枕にぼんやりとテントの中で過ごす時間がとても好きだった。そして、夏の北極海のほとりで、24時間の太陽エネルギーを享受して、すっかりと大きく育った若鳥たちは、親鳥とともに初めての長い旅に出て行く。そして、9月のデナリ国立公園の上空で必ずと言っていいほど、僕はツルの渡りに出会ってきた。
今年は数日間の間で、数百羽の群れを朝から夕方までひっきりなしに僕のキャンプ地の上空を飛んで行った。物凄い数である。北米最高峰のデナリの麓で上昇気流に乗るためにぐるぐると旋回をしながら高度を上げ、そして気流に乗って一気に渡ってゆく。
Denali National Park and Preserve, Alaska. September 2018